介護施設の採用サイト|中途・未経験の応募を増やす中身と書き分け
2026/09/29
求人媒体に掲載しても応募が集まらない、面接まで進んでも辞退が続く。関西の介護施設・老人ホームで採用を担当する方から、こうした相談をよく受けます。原因を掘り下げると、求人票の条件そのものより、求職者が施設名で検索したあとに見る情報の不足が影響しているケースが少なくありません。
この記事では、介護の採用で自社の採用サイトが担う役割を整理したうえで、中途(経験者)と未経験者それぞれが応募前に確かめたいこと、訪問・デイ・入居系といったサービス種別ごとの書き分け、給与や処遇改善の見せ方、関西の通勤事情を踏まえた地域情報の書き方までを解説します。
採用サイトの基本構成や費用感といった業種共通の話は、採用サイト制作の基本と全体像で扱っているため、ここでは介護施設に固有のポイントに絞ります。
目次
介護の採用で自社の採用サイトが必要になる理由
介護関係職種は、全職業の平均と比べて有効求人倍率が大きく上回る状態が続いています。厚生労働省の統計をもとにした集計では、2025年9月時点で全職業が約1.1倍だったのに対し、介護関係職種は約4倍とされています。求職者1人に複数の求人がある状態なので、求職者は「応募できる施設」ではなく「比べて選んだ施設」に応募します。
比べる場面で使われるのが、施設名での検索です。Indeedやハローワークなどの求人で施設を知った求職者の多くは、応募前に施設名を検索し、公式サイトや採用ページ、地図の口コミを確認します。求人票は項目も文字数も決まっているため、職場の雰囲気や入職後の流れまでは伝えきれません。その不足分を補えるのが自社の採用サイトです。
求人媒体と自社サイトのどちらに比重を置くかという議論もありますが、介護の場合は「媒体で見つけてもらい、自社サイトで納得してもらう」という役割分担で考えると整理しやすくなります。媒体への依存を減らす方法を詳しく知りたい場合は、求人媒体に頼らない採用オウンドメディアの進め方も参考にしてください。
中途と未経験では、応募前に確かめたいことが違う
介護の採用サイトでよく見かけるのが、「未経験歓迎」「経験者優遇」を同じページに並べ、誰に向けた情報なのかがぼやけてしまうケースです。中途(経験者)と未経験者では、不安の中身も判断材料もまったく違います。
| 項目 | 中途・経験者 | 未経験者 |
|---|---|---|
| 最大の関心 | 今の職場より働きやすいか、給与は上がるか | 自分にできる仕事なのか、続けられるか |
| 確かめたい情報 | 夜勤の回数と人数、人員配置、記録の方法、残業の実態 | 最初の1か月の流れ、誰が教えてくれるか、資格取得の支援 |
| 転職の動機になりやすいもの | 人間関係、負担の偏り、評価の不透明さ | 異業種からの転身、子育てとの両立、年齢を問わず働ける仕事への関心 |
| 響きやすい表現 | 数字と具体例(夜勤は月4回、記録はタブレット入力など) | 段階と安心材料(最初の2週間は先輩と同行など) |
採用サイトの中で、この2つの入口を分けておくことが第一歩です。トップページから「介護の仕事が初めての方へ」「経験者の方へ」と導線を分け、それぞれのページで相手の不安に先回りして答える構成にすると、読み手が自分ごととして読み進めやすくなります。
未経験者の応募を後押しするコンテンツ
未経験者は、介護の仕事内容をぼんやりとしか想像できていないことが多く、「体力的にきつそう」「失敗したら利用者に迷惑がかかる」という不安が応募をためらわせます。採用サイトで伝えるべきは、仕事の大変さを隠すことではなく、段階を踏んで覚えられる仕組みがあることです。
入職後の流れを期間ごとに見せる
「研修制度あり」と書くだけでは、何が行われるのか伝わりません。入職初日のオリエンテーション、最初の数週間の同行期間、ひとりで任される業務が増えていく時期、夜勤に入るタイミングといった流れを、期間ごとに具体的に示します。施設の実態に合わせた例として、次のような書き方があります。
- 1〜2週目:施設の決まりと利用者の方の把握。食事・移動の介助は先輩と一緒に行う
- 1か月目以降:日勤帯の業務を担当の先輩の確認を受けながら行う
- 3か月目以降:本人の習熟度を見ながら夜勤の見学、その後に夜勤デビュー
期間は施設ごとに異なるので、必ず実際の運用に合わせてください。書いた内容と入職後の実態が食い違うと、早期離職につながります。
資格取得の支援を具体的に書く
未経験者にとって、資格は「取れるのか」「費用はかかるのか」が気になる点です。介護職員初任者研修は130時間、介護福祉士実務者研修は450時間のカリキュラムで構成されています。受講費用の補助の有無や範囲、勤務シフトの配慮、受講中の給与の扱いなど、施設として何を支援できるのかを明記しましょう。介護福祉士の受験を目指す場合のステップを図で示しておくと、入職後のキャリアを具体的に想像してもらいやすくなります。
異業種から転身した職員の声を載せる
販売、飲食、事務などから介護に移った職員の声は、未経験者にとって最も参考になる情報のひとつです。「なぜ介護を選んだか」「最初に戸惑ったこと」「それをどう乗り越えたか」を本人の言葉で語ってもらいます。年代や家庭の状況が異なる複数名を掲載すると、読み手が自分に近い人を見つけやすくなります。掲載時は本人の同意を得て、事実に基づいた内容にとどめてください。
中途・経験者に響くコンテンツ
経験者は介護の仕事そのものは知っています。知りたいのは「前の職場で困っていたことが、ここでは解消されるのか」です。抽象的な「アットホームな職場」よりも、判断材料になる事実を示すことが応募につながります。
- 夜勤:月の平均回数、1回あたりの人数、仮眠や休憩の取り方
- 人員配置:フロアやユニットごとの職員数、急な欠勤時の応援体制
- 業務の負担軽減:記録のICT化、見守りセンサー、移乗の補助機器などの導入状況
- 評価とキャリア:昇給の基準、リーダーや主任への道筋、資格手当の金額
- 働き方:残業の実績、有給休暇の取りやすさ、希望休の出し方
数値は、直近の実績をもとに更新日とあわせて記載すると信頼性が上がります。良い数字だけを並べるのではなく、改善中の課題があれば取り組みとあわせて正直に書くほうが、入職後のミスマッチを防げます。
看護職・ケアマネジャーなど有資格者を採用する場合
看護職、機能訓練指導員、ケアマネジャーなどの有資格者は、介護職とは確認したい内容が異なります。看護職であれば医療的ケアの範囲やオンコールの有無、ケアマネジャーであれば担当件数や事業所の体制が判断材料になります。職種ごとに募集ページを分け、それぞれの業務範囲を具体的に示してください。
サービス種別ごとに書き分けるポイント
同じ介護職でも、訪問介護、通所介護(デイサービス)、入居系の施設では働き方が大きく違います。求職者は「どのサービスで働くか」から探し始めることも多いため、複数のサービスを運営している法人は、種別ごとに情報を分けて示すことが重要です。
| 種別 | 求職者が気にしやすい点 | 採用サイトで示したい情報 |
|---|---|---|
| 訪問介護 | ひとりで訪問する不安、移動手段、移動時間の扱い | 同行訪問の期間、困ったときの連絡体制、自転車・原付・車の貸与、直行直帰の可否、移動時間の賃金の扱い |
| 通所介護(デイサービス) | 日勤のみで働けるか、送迎の運転があるか | 勤務時間帯、送迎の担当範囲と車種、レクリエーションの企画の進め方、土日の営業日 |
| 入居系(特養・有料老人ホーム・グループホームなど) | 夜勤の負担、看取りへの関わり方 | 夜勤の体制と回数、ユニットの人数、看取り期の支援体制、医療機関との連携 |
訪問介護では、ひとりで利用者宅に入ることへの不安が特に大きくなりがちです。最初の訪問は必ず同行すること、判断に迷ったときに電話で相談できることなど、「ひとりにしない仕組み」を具体的に書くと安心材料になります。入居系では夜勤の負担が転職理由になりやすいため、夜勤の体制は曖昧にせず示したほうが、経験者の応募を得やすくなります。
給与と処遇改善の見せ方
給与は、中途・未経験のどちらにとっても大きな判断材料です。ただし、金額を大きく見せることより、内訳と根拠が分かることが信頼につながります。
2026年6月の改定を踏まえた書き方
介護職員等処遇改善加算は、2024年6月に旧来の3つの加算が一本化されて始まった制度です。2026年6月には令和8年度の期中改定として拡充され、配分の対象が介護職員から介護従事者全体へと広がりました。介護従事者を対象に月1.0万円(3.3%)相当の賃上げを実現する措置と説明されています。
採用サイトでは、制度の仕組みを長々と説明する必要はありません。求職者が知りたいのは「この施設で自分の給与にどう反映されるか」です。加算の区分、配分の考え方(基本給への反映か手当か賞与か)、職種ごとのおおよその支給額などを、法人の方針に沿って示しましょう。配分方法は事業所の裁量で決まる部分があるため、他施設の事例をそのまま流用せず、自施設の実際の運用を書いてください。
労働条件の明示ルールに沿って書く
2024年4月の職業安定法施行規則の改正により、募集時に明示すべき労働条件として、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準が追加されました。自社サイトで募集する場合も対象になると解説されています。複数の拠点を持つ法人は、異動の可能性がある拠点の範囲を示す必要があるため、採用サイトの募集要項も見直しておきましょう。
固定残業代を含めて給与を表示する場合は、何時間分の手当がいくらか、その時間を超えた分は追加で支払うことを明記します。「月給○万円以上」だけを大きく見せ、内訳が分からない表示は、応募後の不信感につながります。
関西の採用市場と、地域情報の書き方
大阪労働局の2026年6月分のデータでは、大阪府全体の有効求人倍率は1.13倍でした。介護関係職種は全体平均より高い水準が続いているため、同じ沿線や近隣市の施設と求職者を取り合う構図になりやすいのが実情です。
関西では、通勤のしやすさが施設選びの大きな要素になります。大阪市内であれば大阪メトロやJR大阪環状線、郊外であれば阪急・京阪・近鉄・南海などの沿線から通えるかどうかを、求職者は具体的に確かめます。最寄り駅からの徒歩時間、駅からの送迎の有無、自転車・バイク・車での通勤の可否、駐車場の有無は、採用サイトに必ず載せたい情報です。
たとえば東大阪市や八尾市の施設であれば近鉄沿線からの通勤、堺市や和泉市であれば南海・泉北沿線からの通勤、枚方市や寝屋川市であれば京阪沿線からの通勤といったように、実際に職員が通っているルートを例として示すと、求職者は自分の生活圏と重ねて検討できます。大阪府内の施設が京都府や兵庫県から通う職員を受け入れている場合は、その例も載せておくと候補者の範囲が広がります。
地域名はタイトルに詰め込むより、本文の中で通勤経路や周辺環境として自然に書くほうが、読み手にとっても分かりやすくなります。
応募と見学につなげる導線づくり
内容が充実していても、応募の手間が多いと途中で離脱されます。介護職を探す求職者はスマートフォンで閲覧することが多いため、スマホでの操作を前提に設計しましょう。
- 応募フォームの入力項目は、連絡に必要な最小限に絞る。履歴書は面接時の持参にする
- 「まずは見学だけ」「話を聞くだけ」の申し込み窓口を、応募とは別に設ける
- 電話で受け付ける場合は、対応できる時間帯と担当者名を明記する
- LINEなど求職者が普段使う連絡手段にも対応できるか検討する
- 問い合わせへの返信の目安(翌営業日までなど)を記載し、実際に守る
介護の求職者は複数の施設に並行して応募していることが多いため、返信の早さが選考の結果を左右することもあります。採用サイトからの応募が届いたときに、誰がいつ対応するかを施設内で決めておくことも、サイト運用の一部です。
AI検索や求人検索での見つけられ方を意識する
最近は、求職者がAIに「大阪市で未経験から始められる介護の職場の選び方」といった質問をしてから、施設を調べ始めるケースも増えつつあります。AIの回答にどの情報が使われるかは確定的には言えませんが、よくある質問に一問一答で答えている、数字や条件が具体的に書かれている、情報の更新日が分かるといった特徴を持つページは、参照されやすくなる可能性を高めると考えられています。
採用サイトのFAQに「未経験でも夜勤はありますか」「資格取得の費用は補助されますか」といった求職者の実際の質問を集めて答えておくことは、読み手の不安を減らすと同時に、検索での見つけられ方の面でもプラスに働く可能性があります。介護施設のAI検索対策の全体像は介護施設のAIO/LLMO対策で、大阪エリアのSEOとAI検索対策の考え方は大阪のSEO・AIO/LLMO対策で詳しく解説しています。
公開後に見直すべきポイント
採用サイトは公開して終わりではありません。応募の数だけでなく、どの経路から来た応募か、面接や入職につながったかを追うことで、改善点が見えてきます。
- 面接で「採用サイトのどこを見て応募したか」を必ず聞き、記録する
- Googleサーチコンソールで、施設名以外にどんな検索語で表示されているかを確認する
- 辞退や早期離職の理由を振り返り、サイトの説明と実態にずれがないかを見直す
- 給与・夜勤回数・職員数などの数値は、少なくとも年1回、制度改定があればその都度更新する
介護施設のWEB戦略の全体像のなかで採用をどう位置づけるかは、介護施設のWEB戦略の全体像でまとめています。入居者向けの集客とあわせて見直す際の参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 求人媒体に掲載していれば、自社の採用サイトは不要ではありませんか?
A. 求人媒体は施設を知ってもらう入口として有効ですが、掲載できる情報の量や形式には限りがあります。多くの求職者は応募前に施設名で検索するため、そのときに職場の雰囲気や入職後の流れを確認できるページがあるかどうかで、応募の判断が変わる可能性があります。媒体と自社サイトは役割を分けて併用するのが現実的です。
Q. 採用ページと独立した採用サイトは、どちらを作るべきですか?
A. 募集職種が少なく、単一の施設で採用する場合は、公式サイト内の採用ページでも十分に機能します。複数のサービスや拠点を運営していて、職種・種別ごとに情報を分けたい場合は、独立した採用サイトのほうが整理しやすくなります。更新を誰が担当するかも含めて判断してください。
Q. 未経験者向けに、最低限載せておくべき情報は何ですか?
A. 入職後の研修の流れ(期間ごとに何をするか)、資格取得の支援内容、異業種から転身した職員の声の3つは優先して載せたい情報です。「研修制度あり」とだけ書くのではなく、誰がどのくらいの期間教えるのかまで示すと、不安の軽減につながります。
Q. 給与は具体的な金額まで載せるべきですか?
A. 求職者が比較するうえで重要な情報なので、幅を持たせてでも示すことをおすすめします。基本給、各種手当、処遇改善の反映方法、夜勤手当の1回あたりの金額など、内訳が分かる形にすると信頼性が上がります。固定残業代を含む場合は、時間数と金額、超過分の追加支払いを明記してください。
Q. 2026年6月の処遇改善加算の改定について、採用サイトに書く必要はありますか?
A. 制度そのものの解説は不要ですが、自施設で賃金にどう反映しているかを示すことには意味があります。2026年6月の改定で配分の対象が介護従事者全体に広がったため、介護職以外の職種の募集ページでも、反映方法を確認して記載を見直すことをおすすめします。
Q. 夜勤の大変さを正直に書くと、応募が減りませんか?
A. 一時的に応募数が減る可能性はありますが、実態を知ったうえで応募した人は、入職後のギャップが小さく定着しやすい傾向があります。夜勤の回数、人数、休憩の取り方、困ったときの連絡体制をあわせて示せば、大変さだけでなく支える仕組みも伝わります。
Q. 写真はスタッフの顔が写っているものを使うべきですか?
A. 職場の雰囲気を伝えるには、実際の職員が写った写真が効果的です。ただし掲載には本人の同意が必要で、退職時の差し替えルールも事前に決めておく必要があります。利用者の方が写り込む場合は、本人やご家族の同意を得るか、特定できない形で撮影してください。
Q. 採用サイトの効果は、どのくらいの期間で判断すればよいですか?
A. 施設名で検索した人が見る受け皿としての効果は、公開後すぐに現れることがあります。一方で、施設名以外の検索語から見つけてもらう効果は、数か月単位で見る必要があります。応募数だけでなく、面接で「サイトのどこを見たか」を聞き、入職や定着につながったかまで含めて判断してください。
まとめ
介護施設・老人ホームの採用サイトで大切なのは、求職者を「中途・経験者」と「未経験者」に分け、それぞれが応募前に確かめたいことに具体的に答えることです。訪問・デイ・入居系といったサービス種別ごとの働き方の違い、処遇改善を含めた給与の内訳、関西の沿線や通勤手段を踏まえた地域情報まで示せば、比べられたときに選ばれる材料がそろいます。
株式会社創希では、大阪を拠点に、介護施設をはじめとした採用サイトの企画・制作から公開後の改善まで支援しています。どこから手をつければよいか分からない段階でも構いません。採用サイト制作サービスから、お気軽にご相談ください。
このブログを書いた人
WEB関連に携わって20年越え。ECサイトの運営からスタート。
ホームページ制作に携わって、15年以上になります。





